2020年3月27日金曜日

人の命が軽い映画を1日に3本見た、等 (半端なネタバレを含む)

2016年末に1年間の映画レビュー記事を公開して、なんと3年3ヶ月経ってました。
月日が立つのが早いというか、いつの間にかこのブログも4年弱続いていたことにたまげたというか、ともかくびっくりしました。

  • 3年以上ブログやってるとは思えないボキャブラリー

で、このレビュー記事公開から2020年3月までの約3年間の間、映画は劇場・配信含めなんとカメラを止めるな!しか観てませんでした。
この頃Vを見る時間が増大したのと、単純に忙しくなったのとが重なったのが大きいとは思います。
ただ、そもそもスイッチが入らないと映画を観ない人間なので、前回レビュー時点でしばらくぶりに映画見たっぽい事書いてたところから察するに単純に見たい気分にならなかっただけかもしれません。

15歳以上なのがバレてしまった


前の映画レビュー記事にどんなことを書いたか見に行ったら薄っぺらすぎて恥ずかしくなったので、今回は多少のネタバレ込みで書こうと思います。
ただあんまり事細かに書く性分ではないため中途半端な感じになってしまいました。

  • 文章に感情を乗せるのが苦手なので、詳細に書こうとするとただのあらすじになってしまう





ミッドサマー

この頃映画情報は全然追ってなかったのですが、某人にこれはヤバいっていう噂を聞いて観てきました。
ドラッグ系っていう情報以外なにも知らずに観に行ったので多分他の人よりもダメージ喰らいました。

 

誤解を恐れず言うと、エログロドラッグカルトサイコとこの世の全てのアンダーグラウンドサブカルチャーを詰め込んでミキサーでグチャグチャにかき混ぜたような映画でした。
物語の進行は基本的にドキュメンタリー的に淡々と進んでいき、明らかに何か起きるべきところで何も起きなかったり、伏線だと思っていたものが特に回収もされずに終わったりします。
ただ、「何かが起きるとき」の表現は凄まじいほど陰湿(褒め言葉)で、恐らく誰もが結末を予想できる状態からゆっくりと外堀を埋められていくような感覚に襲われました。
特に序盤の崖のシーンは全てを察してから15分ぐらい生殺しにされたあげく、瞬間の映像を何回も繰り返したり忘れた頃にフラッシュバックしたりで非常に気分が悪かった(褒め言葉)です。
この表現は鬱とかバッドトリップとかを意識してるんじゃないかと思いますが、これを見て

  • カメラのフォーカス当たってない部分がモゾモゾ動いてたのはディズニーのファンタジア感ありましたね


恐らく未知の民族・宗教の、特に風俗歌に対して恐怖心を感じるのは世界共通なのではないかと思います。
日本でも、国民的ホラーゲームであるSIRENのテーマソングである土着的民族歌や、生贄を伴う儀式がSIRENをホラゲーたらしめているところから分かるように、
あとは八つ墓村、犬鳴村など隔離された村社会での出来事を題材にしたホラー映画も多いですね。

  • いや、犬鳴村はコピペレベルの知識なのでつが、、
  • 考察ブログとかを見たらネオナチの暗喩的表現もあったらしい

一番最初にこの映画を春の祭典と例えた人は天才だと思います。夏至だけど。

あとこれもけっこう考察系で書かれてますが、音楽の使い方も非常に悪意があって(褒め言葉)良かったです。
展開は割と読めやすくて夏至で画面も明るい中で、散りばめられた不安要素を不協和音の洪水で流し込んでしまう威圧感がありました。
全体を通してハーディガーディの抑揚のない濁った音に支配されていて、その濃淡をもって感情が遷移していく感じです。
そしてその音律はときに画面とは無関係に進行し、映像として見せない出来事の暗示、もしくは直後に起こる事件の提示になっていました。
なので、第三者視点から見て明らかにネガティブなことが起きている時に急に明るい協和音になったりするので、そこの感覚のずれもまた不気味さにつながっていました。
登場人物に感情移入するタイプの人は大変だったんじゃないかと思います。

  • ちなみに各種サブスクにサントラがあったので、観た方は是非


最後は明るい音楽とヒロインの笑顔、そして陽気なエンドロールで終わったのでハッピーエンドだったのだと思います。
もしくは、あくまで「奇妙なカルト儀式の一部始終のドキュメンタリー」であり、ハッピーもバッドもクソも無いか。

  • 観終わったあとにツイッターでサーチしたらハッピーエンドだった派けっこういた


私は何だかんだ言いながらも好きでしたが、この映画を好きという人とは仲良くなれない気がします。
少なくとも(特に仲の良い)人にはおすすめできないですね……


SAW

ミッドサマーが後味悪いというかずっと口の中に渋みが残ってたので、家に帰ってAmazonでレンタルして視聴しました。


SAWはシリーズ7作まで続く超人気サイコスリラーなので、もはやあらすじの説明も不要かと思います。
私も10年ぐらい前からずっと興味はあったものの、そもそも映画に対するモチベーションに極端に波がある人間なのでタイミングが合わず視聴機会を逃していました。

うっすら聞いていた概要(というかシステム)ではてっきり1対1のバトル映画かと思っていましたが、サスペンスという軸を解明するための1つの手がかりとしてあの部屋でのやりとりがある
最初に結果が提示されて徐々に過程が明らかになっていく、本作品が起源かは分からないけど絶対面白いパターンの流れですね。
例えるなら餃子にマヨネーズかけて食うみたいな感じで。

  • ???????????????


ただ最後に誰も幸せになってないのと、結局何も解決していないのと、最後まで観ても動機もよく分からないのでちょっと引っかかる終わり方でした。
シリーズ物なので仕方ないですね。
次回作以降はAmazon Prime Videoで観られるっぽいので次に映画見たくなった日に観ます。

最後のノコギリのシーンでハッピーツリーフレンズの足が挟まる回を思い出しました。
まさか十数年越しに元ネタを知ることになるとは、非常に感慨深いです。

サウスパーク 無修正映画版(字幕版)

SAW視聴後も喉に小骨が残ってたので急遽観ることにしました。


私の英語は大学院時代の論文講読とサウスパークで培われたといっても過言ではありません。
ゆえに口語でHoweverとかFurthermoreとか使っちゃうし、OMGより前にHoly crapが出てきちゃいます。
これから英語を学習する人は素直にTEDとかViceを観ることをお勧めします。

  • 今思ったけどVice日本版の新興宗教回ちょっとミッドサマー感あったな


私はサウスパークは全部観られているわけではないので狭い知識域での比較となります。
本映画は通常回よりもだいぶ気が遣われてる(ティミーが出てなかった等)感じはありましたが、そもそもテーマがカナダ差別・ナチス揶揄なのでそんなことはありませんでした。
むしろよく主要キャラでサダム・フセインを出そうとしたなと思います。

  • 時系列的には911の前の映画だからまだネタにできてただけかもしれない

展開としては合間合間にミュージカル的な歌が挟まりつつ、通常回と同じく起承転結を進行していく感じでした。
一曲一投足がブラックジョークなのでこれも何かの揶揄かと思いましたが流石に深読みすぎました。
そのミュージカル部分や一部展開がやや冗長な感じもしましたが、そもそも短い映画なのでこれ以上削ったら映画じゃなくてもいいってなる気もするので難しいですね。

今まで英語字幕の英語版しか観たことなかったので日本語字幕が史上最悪すぎて夜中にゲラゲラ笑ってました。
非ネイティブなのでFxxxとかCxxxとかもあまりピンとこないので、海の向こうではこの衝撃がダイレクトに味わえるのは羨ましい限りです。
ただなんか英語音声より恣意的な表現になってた気がします。Fxxxがオ○○○とか。

  • 例を出そうにも1個も適切なシーンが無かった

日本語吹き替え版は評判悪いっぽいですが観てないので分かりません。
ともかくこの映画のおかげで口の中さっぱりしたので寝ることができました。
  • それはそれで良くない気がする


(番外)最後にして最初のアイドル - 草野原々

映画ではありませんが衝撃を受けたので書きます。



上記の映画観た日の翌日に読みました。
書籍、特に小説、さらに言うとSF小説は興味はあるものの詳しくない範囲だったのですが、雨森小夜氏が影響を受けた小説として紹介していたのを見て購入していました。
上記の文庫本(私は電子書籍で買いました)は3編の短編集から成っています。
読むのに多量のカロリーを消費してしまったため、以下の感想は表題の「最後にして最初のアイドル」のみとなります。
個人的にこの作品においてネタバレはナンセンスだと思うので色々遠回しな表現となります。

私は読んでてソナタ形式みを感じました。
冒頭は主題として古月みかという<アイドル>の生い立ちからある転換までを提示しています。
転換が起こり、そこから展開が起こるかと思いきやそのまま主題が続行します。
こうなると完全に著者の意図通りであり、目の前で起こる出来事をひたすら追ってるうちに徐々に展開部に引きずり込まれます。
そしてあるタイミングから<アイドル>という言葉が純粋化していき、まさに絶対音楽のように<アイドル>を定義するためのアイドル活度が展開されていきます。

展開部において、ある運命的なテーマが提示されます。
そこから他の旋律にもテーマが波及していき、不協和の構造が拡大していきます。
収集がつかないほど膨張した状態の中で主題が奏でられ、再現部に入ります。
そしてこれまでの流れを汲んだコーダをもって終わります。

  • 頑張って書いたけどダメだわ


本作品もある意味ドキュメンタリー調であり、読み手の予想や感情とは関係なく淡々と進行していきます。
その中でミッドサマーと大きく違うのは、作品の骨子に著者のある大いなる意思があり、作品内で発生するすべての出来事はその意思を伝える手段となっているという点だと思います。
本文において自由意志に言及する箇所がありますが、本作品もまさにここで定義されている自由意志に基づいて構成されているように感じます。
表現の装飾の大小はあれど、本小説内で書かれている事象はある目的に収束します。
そこも含めてある程度予想はできますが、いくら予想できてもダンプカーに突っ込まれたらひとたまりもないでしょう。


  • この小説がもともとラブライブの二次創作だったっていう後日談もたまげた
  • 自分が主催の合同同人誌にこの小説が寄稿されたらチビると思う


雨森氏は本作品がオーディションに応募したきっかけの一つと語っていました。
そして私も何かしらの指名を与えられた1人となります。

本作品は、ある意味では何かに踏み出すきっかけを与えてくれる啓発書なのかもしれません。


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